2月号  
冬の犬たちへの心配り
寒さに弱いのは南方系の熱帯や亜熱帯が本来生息地である動物です。代表はインコやオウムのような羽の色が明るく華やかな鳥達です。ペットとして飼育される爬虫類や両生類は殆んどが熱帯原産です。こうした動物は20℃から25℃程度の環境が必要でしょう。

次に、犬や猫で考えて見ましょう。 本来、野性猫(山猫)は亜熱帯の森林地帯やブッシュが生息地です。猫は寒い季節は余り外へ出たがりません。寒さにさらされない場所では問題は起こりにくいのです。ただし排尿回数の減少や飲水量の減少は、下部尿路疾患(オシッコが出なくなる)の原因になったりします。猫では心臓病がまれに冬の間に発生します。 犬たちでは南方系の品種が問題です。チワワがメキシコ原産というのは有名です。短毛種は一般に南方系で寒がりです。シーズーは北方内陸地(中国奥地)原産、スピッツ・パピヨンは北方極地系とされ寒さに強いはずですが、室内飼育が長かったせいか寒がりです。飼い主さんが暖房せずに出掛けられて、帰宅したら犬が震えて騒いでいたと言うお話があります。屋外飼育犬でも短毛ポインター、ビーグル等で老齢犬や栄養状態の悪い犬は凍えてしまう場合があります。犬の冬特有の病気としては、椎間板ヘルニア症(特にM・ダックスフンド)、寒冷反応型の膠原病(免疫介在性疾患・リューマチ)、急性犬フィラリア症(近頃では珍しい)の発症等があります。

過去にも多くの病気の説明をしてきましたが、冬の間に起こりやすい犬猫の疾患についてまとめてみました。参考にして下さい。


1.冬の犬たちへの心配り

 まずこの時期、明け方の冷え込みは特に厳しいですから保温に心掛けて下さい。時には冬に喜ぶはずの犬達も寒さに負けてしまうときがあります。短毛種がよく凍(こご)えます。体温調節の困難な子犬や老齢動物も要注意です。夜半早朝から激しく震えている。屋外で動けなくなっていた。体全体が異常に冷たいといった症状が見られます。どれも屋外に繋いだり、極めて寒い場所に動物を置いたときに発生します。

a)犬種が屋外飼育に適しているかどうか良く判断する。

短毛種・老齢犬・子犬は温調節が困難で、耐寒性に欠けます。

b)徐々に外の寒さに慣らしてやる。

c)屋外での飼育は敷物を敷いたり、小屋全体を毛布で覆うなどの保温をしてあげる等の配慮が要ります。

 また、犬たちのこの時期多い病気は

1)心臓疾患 

老齢犬の咳、運動不耐、失神、呼吸困難は心臓病の症状です。

2)椎間板ヘルニア

急に後脚が動かなくなるときが有ります。ダックスフンド・ビーグル・シーズーに多くみられます。

3)関節靭帯疾患 

元気の良い犬種、ヨーキー、コーギー、レトリバー、柴犬などの中高年のひざの靭帯が切れる事が有ります。老齢大型犬種の股関節の変性性関節症が悪化しやすいです。

4)呼吸器感染症

老齢犬で歯石や歯周炎のある場合気管・気管支炎や肺炎が起こりやすくなります。


2.冬の猫たちへの心配り

猫は寒さに弱い動物ですが、冬の間炬燵や日当など暖かい所を好むせいなのか、凍える猫はめずらしいです。ただし、寒さによるストレスはFIV(いわゆる猫のエイズ) FeLV(猫白血病ウイルス)の免疫不全症発症のきっかけになる事があります。

厳冬期から早春期にかけては

1)下部尿路疾患

猫下部尿路疾患はご存じの方も多いかと思いますが、特にオス猫でよく見られる「おしっこの病気」です。頻繁にトイレに行く。血尿が出る。尿が出ない。重症なものでは激しい嘔吐や虚脱がみられます。

2)心筋症

心筋症は猫の心臓の筋肉を侵す病気です。この種の心臓疾患にはa)拡張型 b)肥大型 c)拘束型 d)甲状腺機能亢進による心筋肥厚、などがあります。猫は急に苦しがり、激しく鳴いたり、後肢が立たなくなる(血栓症のため)こともあります。

3)重度な呼吸器疾患

気胸や膿胸、喘息症、肺炎など重度な呼吸器疾患の猫は大変に苦しそうな様子が観られます。あまりに衰弱した場合、飼い主さんには一見苦しそうには見えない場合があります。

4)発情行動による闘争や外傷

猫の発情行動による闘争や外傷が多くなるのもこの季節です。ケガを通して、免疫不全ウイルス(猫エイズ・猫白血病など)の感染を受けてしまうこともあります。できるだけ去勢や不妊手術を受けさせて下さい。 急性の元気や食欲の低下、排尿困難、呼吸不全、ケガを見つけたら早めの診察をお薦めします。

動物たちも、家族の皆さんも毎日が元気に過ごせますように・・・・・。

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