今月の健康管理
ポメ目次 2006年分
2006年3月29日号:「虫」について考えてみよう…。
2006年2月27日号:皮膚に注目してみよう。
2006年2月 7日号:春はもう直ぐそこまで来ています。
2006年 1月16日号:「例年にない寒波」その影響は・・・。

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2006年3月29日号
「虫」について考えてみよう・・・。


「先生〜!寝ていた絨毯の上にこんな虫が居ました。」と、先日ある飼い主さんがビニール袋に「虫」を入れてお持ちになりました。「どれどれ、」と見ましたら何処から来たのか「ミミズ」の幼虫でした。まずは、ひと安心。これなら病気の原因にはなりませんから・・・。聞けば庭土を良く掘るワンくんだそうです。

春になって冬の間土の下に閉じこもっていた虫達が地上へ這い出してくる季節です。そこで今回はいろんな「虫たち」について考えてみましょう。「虫」と聞いただけで逃げ出したくなる人は今回の話はパスして下さっても宜しいですよ。

「虫」とは言いましても、小さなものはお腹の中の消化管内寄生虫 (1)線虫類(2)条虫類(サナダムシ)から、皮膚内に棲む(3)毛胞虫(アカラス)(4)疥癬(カイセン)とか、少し大きなものでは外部寄生虫(5)ノミ・(6)ダニ類(マダニ)まで各種あります。考え方によれば(7)蜂や毒蛾もあります。

どの虫も動物には居て欲しく無いものばかりです。こうした寄生虫は体の内外で健康にどう影響するのでしょうか?どう侵入していくのか、どうやって駆除したら良いかを私たちは知っておく必要があります。

まず(1)線虫類・(2)条虫類は「消化管内寄生虫」と呼ばれます。回虫やサナダ虫がこれです。これらは胃や小腸大腸に住んでいて、胃腸障害が出ます。回虫は胎児期や母乳から、条虫は蛙やトカゲ、またノミが仲立ちをします。治療は内服による駆虫剤投与です。嘔吐や下痢がひどい場合は先ず制吐剤や止瀉剤・栄養補給が必要です。

つぎに(3)毛胞虫(アカラス)・(4)疥癬(カイセン)は皮膚内に寄生する微小なダニの一種で、皮膚病の原因生物です。「痒み」も激しく皮膚炎がひどく起こります。動物での症状は発赤やカサブタができるなど、とても類似します。疥癬は同居する動物や「人」にも被害が出ますが、毛胞虫(アカラス)は動物や人には伝染しません。治療は薬用シャンプーと殺ダニ効果のある特殊な薬剤の注射や内服が有ります。1ヶ月以上治療が必要な患者さんが多くいます。

(5)ノミ・(6)ダニ類(マダニ)は外部寄生虫と呼ばれて、刺蛮(刺す事)による唾液およびノミダニのたんぱく質が抗原となり皮膚アレルギー(ノミアレルギー)が起こります。但しダニの頭部は皮膚に食い込んでいますから、つまみ取ったりしてはなりません。ダニの頭部が残り皮膚炎が悪化します。皮膚炎治療と併せて効果的なノミ・ダニ駆除予防の薬を使用します。

(7)蜂や毒蛾については長くなるので割愛しますが、被害の発生する夏の季節になりましたらまたお話し致しましょう。このように寄生虫や虫にも色んなものが有る事がお分りになられたと思います。

もし飼っている動物に何か「虫」を見つけたら、皮膚に固着した物はそのままに、あるいは落ちていた物は袋に入れる等してお持ちください。もちろん動物も一緒にお連れ下さった方が宜しいです。

当院では寄生虫の病原性や人への影響も含めて良くお調べして、適切な対処を致します。さて、次回は春のワクチンやフィラリア予防についてご説明致しましょう。では次回を楽しみに。
どうか動物たちがいつも健やかでありますように・・・。 

                                 

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2006年2月27日号
  皮膚に注目してみよう  

二十四節季の雨水も過ぎて、日毎に暖かくなってまいりました。今回は「皮膚の病気」と「皮膚にできる腫瘍」をお話ししましょう。

春になり体の汚れが気になるのもこの頃です。皮膚の手入れは、とかく冬の間はおろそかになりがちです。良く観察してみますと皮膚炎が発生していたり、瘤ができていたりします。

皮膚炎の多くは細菌性のものですが、アレルギーやダニ(かいせん症・毛包虫症)やカビによるものも有ります。何れもシャンプー療法が効果的ですが、寒さもありシャンプーをするかどうかためらいます。皮膚の様子や健康状態に沿った処置が必要と思います。爪が伸びすぎて歩きづらかったり、爪が指にまで食い込んでいたりする事も有ります。またお尻を引き摺ったり、しきりと舐めたりする場合があります。これは肛門腺が腫れる病気です。下痢が続いた後には肛門周囲炎が起こることが有ります。

皮膚にできる腫瘍は、小さな「ほくろ」に似た物から随分大きな塊になった物まで限りなくあります。好発部位は有りますが、体中何処でも「細胞」のあるところには全てできます。「脂肪腫」のような良性の物から極めて悪性度の高い「腺癌」と呼ばれる物まで多種多様です。腫瘍には痛みがない事も多く、それだけで「良性」と判断するのは大きな間違いです。検査法としては現在、注射するように腫瘍へ細い針を刺して簡単に「細胞診」することができます。これは痛みの少ない検査で、腫瘍のタイプが容易に判定できます。

爪の付け根や足先にできる腫瘍は悪性の場合が多く注意が必要です。爪の周りと同様に老齢な犬では肛門周囲に腫瘍ができることがあります。特にメスでの肛門腺腫瘍は悪性が多く早期の治療が必要です。

こうして見て来ますと、どれも適切な処置が必要なのですが、家庭ではなかなか飼い主さんに触らせない子が多いものです。できましたら処置につきましては当院の方へお連れになった方が宜しいと思います。

不思議な物で病院は苦手なのに病院に来てみると、急に大人しくしている動物を良く見掛けます。

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2006年2月7日号
春はもう直ぐそこまで来ています。

節分・立春も過ぎましたが、春のきざしはまだなく、寒い日が続きます。過去にも多くの病気の説明をしてきましたが、冬の間に起こりやすい犬猫の疾患についてまとめてみました。参考にして下さい。

 まずこの時期、明け方の冷え込みは特に厳しいですから保温に心掛けて下さい。時には冬に喜ぶはずの犬達も寒さに負けてしまうときがあります。短毛種がよく凍(こご)えます。体温調節の困難な子犬や老齢動物も要注意です。夜半早朝から激しく震えている。屋外で動けなくなっていた。体全体が異常に冷たいといった症状が見られます。どれも屋外に繋いだり、極めて寒い場所に動物を置いたときに発生します。

  • a)犬種が屋外飼育に適しているかどうか良く判断する。
      短毛種・老齢犬・子犬は温調節が困難で、耐寒性に欠   けます。

  • b)徐々に外の寒さに慣らしてやる。

  • c)屋外での飼育は敷物を敷いたり、小屋全体を毛布で覆うなどの保温をしてあげる等の配慮が要ります。

また、犬たちのこの時期多い病気は

  • 1)心臓疾患 
    老齢犬の咳、運動不耐、失神、呼吸困難は心臓病の症状です。

  • 2)椎間板ヘルニア
    急に後脚が動かなくなるときが有ります。ダックスフンド・ビーグル・シーズーに多くみられます。

  • 3)関節靭帯疾患
    元気の良い犬種、ヨーキー、コーギー、レトリバー、柴犬などの中高年のひざの靭帯が切れる事が有ります。老齢大型犬種の股関節の変性性関節症が悪化しやすいです。

  • 4)呼吸器感染症
    老齢犬で歯石や歯周炎のある場合気管・気管支炎や肺炎が起こりやすくなります。

猫は寒さに弱い動物ですが、冬の間炬燵や日当など暖かい所を好むせいなのか凍える猫はめずらしいです。ただし、寒さによるストレスはFIV(いわゆる猫のエイズ) FeLV(猫白血病ウイルス)の免疫不全症発症のきっかけになる事があります。

厳冬期から早春期にかけては

  • 1)下部尿路疾患
    猫下部尿路疾患はご存じの方も多いかと思いますが、特にオス猫でよく見られる「おしっこの病気」です。頻繁にトイレに行く。血尿が出る。尿が出ない。重症なものでは激しい嘔吐や虚脱がみられます。

  • 2)心筋症
    心筋症は猫の心臓の筋肉を侵す病気です。この種の心臓疾患にはa)拡張型 b)肥大型 c)拘束型 d)甲状腺機能亢進による心筋肥厚などがあります。猫は急に苦しがり、激しく鳴いたり、後肢が立たなくなる(血栓症のため)こともあります。

  • 3)重度な呼吸器疾患
    気胸や膿胸、喘息症、肺炎など重度な呼吸器疾患は猫は大変に苦しそうな様子が観られます。あまりに衰弱した場合、飼い主さんには一見苦しそうには見えない場合があります。

  • 4)発情行動による闘争や外傷
    猫の発情行動による闘争や外傷が多くなるのもこの季節です。ケガを通して、免疫不全ウイルス(猫エイズ・猫白血病など)の感染を受けてしまうこともあります。できるだけ去勢や不妊手術を受けさせて下さい。急性の元気や食欲の低下、排尿困難、呼吸不全、ケガを見つけたら早めの診察をお薦めします。

節分が過ぎれば春はもうすぐです。
動物たちも、家族の皆さんも毎日が元気に過ごせますように・・・・・。 

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2006年1月16日号
「例年にない寒波」その影響は・・・。
 

今年は(昨年末から)例年にない寒波が押し寄せて来ました。東海地方でも大雪と異常低温の日が何日もありました。この厳しい寒さが動物たちにどのように影響するのでしょうか?ちょうど「大寒」の時期でもありますので少し考えてみたいと思います。

まず寒さに弱いのは南方系の熱帯や亜熱帯が本来生息地である動物です。代表はインコやオウムのような羽の色が明るく華やかな鳥達です。ペットとして飼育される爬虫類や両生類は殆んどが熱帯原産です。こうした動物は20℃から25℃程度の環境が必要でしょう。

次に、犬や猫で考えて見ましょう。本来、野性猫(山猫)は亜熱帯の森林地帯やブッシュが生息地です。猫は寒い季節は余り外へ出たがりません。寒さにさらされない場所では問題は起こりにくいのです。ただし排尿回数の減少や飲水量の減少は、下部尿路疾患(オシッコが出なくなる)の原因になったりします。猫では心臓病がまれに冬の間に発生します。犬たちでは南方系の品種が問題です。チワワがメキシコ原産というのは有名です。短毛種は一般に南方系で寒がりです。シーズーは北方内陸地(中国奥地)原産、スピッツ・パピヨンは北方極地系とされ寒さに強いはずですが、室内飼育が長かったせいか寒がりです。昼間暖房せずに出掛けて、帰宅したら犬が震えて騒いでいたと言うことがあります。屋外飼育犬でも短毛ポインター、ビーグル等で老齢犬や栄養状態の悪い犬は凍えてしまう場合があります。
犬の冬特有の病気としては、椎間板ヘルニア症(特にM・ダックスフンド)、寒冷反応型の膠原病(免疫介在性疾患・リューマチ)、急性犬フィラリア症(近頃では珍しい)の発症等があります。

一旦寒さが和らいでも春分(3月下旬)までは寒の戻りがあります。動物たちの健康管理に気を付けて春を待ちましょう。

どうか今年一年、動物たちもご家族も元気に暮せますように・・・。 

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